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内視鏡手術支援システム


内視鏡手術とは

 内視鏡外科手術とは,患者の腹部や胸部に数箇所あけられた10mm程度の小さな穴の一つから内視鏡(内視鏡,胸腔鏡)を挿入することで得られた体内の様子をテレビモニタ画面上に映し出し,術者がこの二次元画面を見ながら,別の穴から体内に挿入した手術器具を用いて行う外科的な処置です.低侵襲な術式であるため患者へのダメージが小さく,早期の社会復帰が可能などのメリットがあるため,従来の開腹手術に代わって近年普及している手術です.

 しかし,内視鏡手術は術者にとっては作業負担が大きい術式です.術者は両手を駆使して手術器具の操作を行うため,内視鏡の把持と位置決めは別の人間(カメラ助手)の手に委ねざるを得ません.そのためカメラ助手とうまく協調ができない場合やカメラを持つ手がぶれることにより視野が不安定になると,必ずしも術者にとって最適な視野が得られるとはいえません.また,一般的にカメラ助手は,手術を熟知した医師が行っており,手術の妨げとならないように振舞おうとします.そのため,時には無理な体勢で長時間カメラ操作を行い,身体的負担を強いられることもあります.

 本研究室では上記の問題を解決するために,人間(カメラ助手)の代わりにロボットに内視鏡を操作させるシステムを研究し,内視鏡制御ロボットの開発と人間のカメラ助手が行うカメラワークをロボットによって実現することを目指しています.ロボットを用いることでカメラの操作は術者本人が行うことが可能であるために常に最適な視野が得られます.また,カメラ操作を自動化することで,術者本人が手術のみに集中することができるようになるので,内視鏡外科手術の安全性がさらに向上するようになります.

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従来の内視鏡手術

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ロボットを用いた内視鏡手術



生物の「ゆらぎ」に学ぶ柔軟な内視鏡制御手法の開発

 内視鏡を自動制御することができれば,術者は手術のみに集中することができます.しかし,人間のカメラ助手が行う内視鏡操作は複雑であるため,制御モデルを立てることは非常に困難です.従来の内視鏡自動位置決めシステムの研究では,カメラ助手の内視鏡操作を単純化したり,特定の環境下での応用を仮定して制御モデルを構築するため,人間のカメラ助手のカメラワークと比較すると単調なものになり,カメラワークの柔軟性が失われます.

 そこで,生物が持つ環境適応の仕組みを解明する研究の中で発見された「ゆらぎ」と呼ばれる概念を用いて,人間のカメラ助手のように柔軟な内視鏡制御を行える手法を開発しています.この「ゆらぎシステム」の内視鏡制御では厳密な制御モデルが必要なく,現在の内視鏡映像が良いものか悪いものかを術者の動作から自動的に評価することで行っています.「ゆらぎシステム」によって,手術中のいかなる状況においても術者に適切な視野を提供することが期待されます.

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制御手法に取り入れているゆらぎ方程式



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内視鏡手術支援システム構成




研究内容